鏡を見るたびに広くなっていく額の境界線に怯えていた私は、ついに意を決して近所の大きなドラッグストアの門をくぐりました。それまではネットで評判の育毛シャンプーなどを試していましたが、やはり医学的な根拠がある「ミノキシジル」の入った発毛剤に頼るしかないと確信したからです。育毛剤コーナーに行くと、そこには「第1類医薬品」と書かれた空箱が並んでいました。現物はレジの奥の棚に厳重に保管されており、薬剤師に声をかけなければ買えない仕組みになっています。少し緊張しながらカウンターへ向かい、レジにいた薬剤師の方に空箱を差し出すと、彼女は非常に落ち着いたトーンで「こちらの商品ですね、ご説明が必要ですので少々お待ちください」と言って、プライバシーに配慮した相談コーナーへ案内してくれました。そこで渡されたのは一連のチェックシートで、血圧の異常はないか、心臓に持病はないか、過去に薬でかぶれたことはないかといった項目に回答していきました。ミノキシジルはもともと血圧の薬として開発された歴史があるため、血管に作用する特性上の確認が必要なのだと説明を受け、私はこの時初めて、自分が買おうとしているものが単なる化粧品ではなく「薬」であることを強く意識しました。説明の中で特に心に残ったのは、効果が出るまでには時間がかかることと、最初は初期脱毛という一時的な抜け毛があるかもしれないという点です。もし一人でネットで買っていたら、抜け毛が増えた時点でパニックになって止めていたかもしれませんが、プロから直接そのメカニズムを聞いたことで、心に余裕が生まれました。会計を済ませて、中身が見えないように丁寧に包装された袋を受け取ったとき、私はようやく自分の悩みに対して本格的な一歩を踏み出したという、不思議な高揚感を覚えました。帰宅後、早速風呂上がりに説明書を読みながら塗布を始めましたが、ドラッグストアで購入した製品は、一回分が正確に計れる構造になっており、非常に使いやすく設計されていることに驚きました。それからというもの、仕事帰りに同じドラッグストアで二本目を買う際には、薬剤師の方に「調子はどうですか」と声をかけてもらえるようになり、それが継続のモチベーションにもなっています。ネットの便利さも良いですが、あの日勇気を出して対面で相談したことは、私の発毛への自信と正しい知識を育むための、かけがえのない経験となりました。
初めてドラッグストアのカウンターで発毛剤を買った日