抜け毛の原因は多岐にわたりますが、しばしば見過ごされがちなのが、身体の他の病気との関連性です。多くの人がストレスや遺伝を真っ先に考えますが、実は内臓の不不調や全身性の疾患が抜け毛として表面化することは珍しくありません。例えば、糖尿病も抜け毛と関連する病気の一つです。高血糖状態が続くと、末梢血管に障害が起こりやすくなり、頭皮への血流が悪化します。これにより、毛根に十分な栄養や酸素が供給されなくなり、髪の成長が阻害され、抜け毛が増加することがあります。また、免疫機能の低下も抜け毛の一因となり得ます。HIV感染症やその他の免疫不全を伴う病気では、体全体の抵抗力が弱まることで、毛根の健康が損なわれ、抜け毛が加速することが知られています。これらの病気の場合、抜け毛は他の重篤な症状と併発することが多いため、早期の診断と治療が重要です。さらに、腎臓病や肝臓病といった慢性疾患も、体の代謝機能に影響を与え、抜け毛を引き起こす可能性があります。腎臓は体内の老廃物を排泄し、肝臓は様々な物質を代謝する重要な臓器です。これらの機能が低下すると、体内に有害物質が蓄積したり、栄養素の代謝が滞ったりして、髪の健康に悪影響を及ぼします。長期にわたる炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎など)も、栄養吸収障害を伴うため、抜け毛の原因となることがあります。これらの病気では、食事から十分に栄養を摂取できていても、腸での吸収がうまくいかないために、髪の成長に必要なビタミンやミネラルが不足しがちになります。特に、ビタミンB群や亜鉛、鉄分などの欠乏は、抜け毛に直結しやすい栄養素です。このように、抜け毛は単独で発生する問題ではなく、全身の健康状態を映し出す鏡のようなものです。自分の抜け毛が一時的なものなのか、それとも病気のサインなのかを見極めるためには、専門医による詳細な検査が不可欠です。安易に自己判断せず、気になる症状がある場合は、かかりつけ医や皮膚科医に相談し、適切な診断と治療を受けることをお勧めします。
ストレスだけじゃない?抜け毛と関連する身体の病気